Tokyo Flashback P.S.F. 発売記念 ~Psychedelic Speed Freaks~ 生悦住英夫氏追悼ライブ②

2017年6月25日にスーパーデラックスで行われた生悦住さんの追悼ライブから1年近くが過ぎようとしている。


聴きに行ったライブを順番にブログにアップしているはずだが、もうそんなに時が経ったのかと驚いている。





開場前から早めに並んでいたら、一番先頭には、私が行くと必ず買いに来ているのをお見かけした方が並んでいた。きっと新譜が出るたびに店を訪れていたのだと思う。


そんな方々がたくさん集まったのだろう。私が今まででこの会場で経験したライブの中では入場者数が一番だった。


生悦住さんから辛辣な叱咤激励がたびたびあったという話が音楽家たちから披露されていた。


常連中の常連はともかく、少なくとも私に対しては、ご自身が贔屓にしている音楽家の作品を「これは良いよ」と奨めてくれるのが常だった。


私にとってライブは初体験の音楽家も少なからずいたが、聞きしに勝る音楽を奏でたのは当然だったのだろうと思う。




英国の音楽雑誌”WIRE”紙上はじめ幅広く日本のインディペンデント音楽を紹介している学者アラン・カミングスが司会を務めた。








à qui avec Gabriel

幕開けは静かだった。

静かだが儚さはない。流麗としている。





.es

先鋭的なピアノと熱気と冷気が交差するサックス。

確固としたスタイリッシュさ。





平野剛


ピアノと歌を媒介に物語を紡いでいく。

それは抒情詩でもあり寓話でもあった。





長谷川静男


深い闇の中に吸い込まれて行き、はっと我に帰る。

その瞬間。




ヒグチケイコ with ルイス稲毛


ピアノにエレキベース

同じ編成のカーラ・ブレイとスティーブ・スワローとはまったく
趣の異なったオリジナリティ。


違和感なく溶け合った音と音。





マヘルシャラルハシュバズ

不協和音オーケストラは、決して破綻しない。

聞き逃せない一瞬と連続。






川島誠

彼のサックスは本当に泣いていた。

私にはそれがよくわかった。






冷泉


枠にはめるのが困難な音の連続と断続。

暗闇に響く音が光り輝く。






三浦真樹+横山玲

ギターとエレキベースが共鳴しながら、離れ、昇華していく。

その場所に立ち会える偶然性。







馬頭將器+荻野和夫 (The Silence, ex.Ghost)

静かだった。

追悼と祈り。

静けさはそのためにあったのか。






成田宗弘 (High Rise)

今までで聴いた成田宗弘のライブの中で傑出したソロギター。

境地にたどり着いたのだと思う。





Che-SHIZU

狂気を纏った旋律があった。

静けさを破壊し、そして、また静けさに戻った。

2017年6月25日 Tokyo Flashback P.S.F. 発売記念 ~Psychedelic Speed Freaks~ 生悦住英夫氏追悼ライブ

20170625221454


今井和雄が評価した灰野敬二の作品は「光  闇  打ち溶け合いし この響き」(PSF 2003年)だった、と生悦住さんから聞いたことがある。発売してから間もなくのころと記憶している。


生悦住さんご自身のプロデュースによる全編アコースティックギターのとても静かな作品だ。



当時は理解できなかったが、言外にあったのは、
生悦住さんの落胆と期待、半分半分のものだったのだろう。


この初のギターデュオには、時の移り変わりを感じさせる趣があった。



今井和雄と灰野敬二が繰り出したノイジーな叙情はきっと遠くに行ったのであろう。

gallery 360°


ギャラリー360°が、昨年2017年12月末をもって閉店した。



移転先はすでに決まっていると聞く。



最初に訪れたのは1997年ごろだった。まだ、辺りは静かなたたずまいを残していた。




インデペンデントなギャラリーが其処ここにあり、ふと足を止めたものだった。




その中にあって、ギャラリー360°は比類のない輝きを放っていた。



ポストモダンが一巡して、簡素なアートやデザインが脚光を浴びていたこの頃、ミニマルアートのインスタレーションなどの催しが開かれた。



もちろん、それは、ギャラリーの歴史にとっては、記憶の断片に過ぎない。




信奉者のひとりであるものの、足しげく通うことはなかったため、イベントのアーカイブを網羅的にひも解く素養に乏しい。




ただ、木村伊兵衛賞を獲得する以前から、ホンマタカシの作品が飾られていたのは良く覚えている。




オノ・ヨーコの展覧会の数々も。




フルクサスの貴重な展示。




そして、ジョン・ケージの音楽。小杉武久




最後の展示となったのは、永瀬沙世のThe Void。




どれも深く残っている。



いただいた移転の案内には、「アートの日常化」と記されていた。




長いこと表現しづらかったギャラリー像が目の前に広がっていくのを感じた。



移転後の活動が楽しみになってきた。



「天国」 神保町 試聴室 ③Kuruma (藤村直輝+大島輝之)




















Kuruma (藤村直輝+大島輝之)


大島輝之のライブ活動休養前最後のライブに立ち会えた。

意外にもアコースティックギターの引き語りだった。

しみじみとしたものになるのかと思いきや、ハプニングの連続だった。

Kuruma (藤村直輝+大島輝之)というグループが以前からあったかは
定かではないが、藤村直輝は、かつての黄金町試聴室で、大島輝之
共演したことは知っていた。

この時はライブ会場には行けなかったが、
大島輝之の演奏をどうやって邪魔をするかということを競った
イベントだったと聞いている。そこで栄誉に輝いたのが、
藤村直輝だったそうだ。

藤村直輝は、工具一式と材料をそろえて、待ち構えており、
ステージに青いビニールを張った簡易テントを敷設してしまった。

今回も大島輝之の演奏は、音は聞こえこそすれ、完全にステージを
妨害されたことになった。

しかし、これで終わりとはならなかった。

サラダマイカル富岡製紙工場のボーカル、サラダがステージ上に現れて
大島輝之の頭にシャンプーをし始めたのだ。

半ば笑いながら、歌う大島輝之を見るにつけ
しばらく見られないステージを、なおさらのこと
名残惜しく思った。

「天国」 神保町 試聴室 ② 山本精一
















この日の白眉は、山本精一のソロだった。



エレキギターを手に、歌を唄った。


以前レポートした山本精一のソロは、アコースティックギターだったが、
今回はエレキギターだった。


「同じ歌を唄ってここまで違って聞こえるのか」
と素直に驚いた。


牧歌的なフォークソングが、エフェクターのギターでまったく違った次元へと誘う。

けれどもそこにショーアップの類の作為はない。


山本精一のギターは、一聴すると退廃的なのだが、聴いているうちに
昇天するかのような活力がある。とても不思議だ。

これは、語るべき音楽ではなく、真に聴くべき音楽の証左なのだろうと思う。

「天国」 神保町 試聴室 ① にじ、サラダマイカル富岡製糸場グループ

『天国』 出演:山本精一、Kuruma (藤村直輝+大島輝之)、

神保町の試聴室でのイベントは「天国」と銘打ったものだった。
大島輝之のライブ活動休養前の最後のライブとなった。
会場には、barisheeのオーナーや武田理沙の姿も見えた。

写真が多いので3回に分けてアップしたいと思う。













にじ、というグループは愛知県を拠点にしているそうだ。ポップで今っぽい
感じの歌が印象的だった。その中にあってギタリストは、年齢が若そうだったが
良い意味で古典的な技能を使っていたと記憶している。

ますますの活躍を期待したい。





















サラダマイカ富岡製糸場グループは、在りし日の黄金町試聴室のスケジュールには
なんども出ていたうえ、大島輝之が絶賛していたので、CDを買って聞いていた。

もちろん、ライブは未体験だった。

CDを聴いただけでは分からなかったすごさが表れたステージだった。
新しい何かを感じさせるのに十分な演奏だった。

奇抜さはない、力を抜いた良い加減のボーカルに、
細部にわたり工夫された(伴奏というよりも)
演奏が絶妙な塩梅だった。

バンドのメンバーに、もんでんやすのり、がいたとは
知らなかった。

ライブで聴いた方が絶対に良いと思う。

菊地雅晃 STAR☆MINE(仮説) 5月2日 荻窪Velvetsun

(はじめに)
7月に体調を壊し仕事を休んだ後、復調とは言えない状態が続いて
更新を怠ってしまいました。その間、アクセスいただだき、ありがとうございます。
















この日は、STAR☆MINEのライブを見に荻窪のベルベットサンを訪れた。

菊地雅晃(gt) 松村拓海(fl) 堀田秀顕(el-b) 金子充伯(ds)

単独での初ライブだったとは思うが、定かではない。
この日以降、2度ほどベルベットサンでライブを行なっている。

メンバーは基本的に坪口昌恭(Key)が入っているが、この日は
参加していない。

ベルベットサンでは12月5日に再びライブをするようだ。

バンドは、

「ソフトマシーンの音色(主にオルガンの音色)+フュージョンのサイケな和声感+グレイトフルデッドの延々とフラットに続くインストプレイ+ファズギター+テクノやダブでのディレイの使い方+適度なキメ」

というコンセプトらしい。


それはともかく、ベースの技術的な巧みさと、ドラムスの格好良さが
印象的だった。二人とも私が聴くようなライブでは名前を聞かない
楽家だが、活躍している姿が見たいと思った。