sim 元住吉・Powers2

sim 大島輝之 大谷能生 植村昌弘


















大島輝之がライブ休業を宣言してから、発表されたライブはどれも
魅力的だった。この日以降、残すところ、黄金町視聴室と神保町視聴室
だけの日程となった。


simを最初に聴いたのは、黄金町の視聴室がオープンして間もなくのころだった
と記憶している。現在では、黄金町は閉店して、日の出町に移転している。


さて、この日のトリを務めたsimの番になったら、疲労感が襲って
きて、ひたすら聴くことに専念した。

音楽を自分なりに記憶するのを放棄したら、楽になった。


話は大幅に脱線するが、
歳を重ねるにつれ、人間の本性は、睡眠、摂食、排泄、性交で成り立っていて、
それ以外のものは
さほど意味のないものと思うようになった。

本能的には、人間は動物の一種類に過ぎないのだと思う。


ただ人間を人間たらしめているのは、物事や事象に意味を持たせる行為
に尽きるのではないか、とも思うようになってきた。


その行為を奪ってみたり、放棄したとすれば、やはり人間には
睡眠、摂食、排泄、性交しか残らないということになる。



絶対に何人たりとも音楽をことばで表現することはできない。


その考え方に変わりはないが、その自己矛盾は人間たる所以だとも
私なりに考えている。




確か、デビュー当時は、爆音がすごくて、前の席のお客さんが倒れたという
本当か嘘か定かではない情報がtwitterで流れていたと思う。


何はともあれ、楽しいひとときだった。

Argonauts Marcos Fernandes 武田理沙 DB 3CH

Argonauts 元住吉・Powers2















マルコス・フェルナンデスがリーダーと思われるバンドだけれども
本当のところは分からない。


だが、マルコス・フェルナンデスの縦横無尽のドラミングを見ていると
そういう感じがする。マルコス・フェルナンデスを生で聴くのは2度目だが
本当に良いドラミンングだと思う。


エレクトリックベースがマルコスに向かい合って、リズム隊が一体感を
増していくのだが、この絡みはすごかった。

エレクトリックベースは、その製造国、つまりルーツががアメリカであるため、
先人=パイオニアも数人のアメリカ人に絞られることになる。


私はなぜか、ベーシストにジャコパ・ストリアスのハーミニクスの影響を
垣間見てしまったのだが、やはりこれも本当のところは分からない。



このライブを最後にベーシストは脱退したようだが、いろいろな
事情はあるにせよ、惜しい話だと思うくらい、ドラムスとの息が合っていた。


ギターは、エフェクターの使い方が独特だった。

タイトなベースとドラムスの
重量感から良い意味で解放するような、空間をもたらしていた。


ある種の音楽家の間では話題となっている武田理沙にも注目していた。


ところが、キーボードの音量が小さいためか、バッキングの和音が
まったく聴こえなかった。

しかし、途中でレゲエのリズムになり、武田理沙がソロを取った時は
面目躍如の感があった。



本当に独特のリズム感だった。敢えて引ききらずに、十分な間のあるソロだった
が、ここでは音を出さないなあ、というところで音を出し、ここで音を出すだろう
というところで音を出さない、何といって良いか。リズムの捉え方が
他の人とは違うものが感じられた。決して破綻しないうえ、次はどうなるのだろうか
という風に期待させるような演奏だった。

石原雄治+エリヲ 元住吉・Powers2

4月20日 石原雄治+エリヲ















大島輝之のライブ活動休業宣言には驚いた。

その後に発表された元住吉・powers2での
simのライブは、石原雄治+エリヲ、Argonautsのスリーマンだった。

体の調子は良くなかったが、仕事帰りに駆けつけることにした。

最初に演奏した、石原雄治とエリヲは、liiilのリズム隊なのだが、
Duoは何度かやっているのではないだろうか。

期待に違わない演奏を聴くことができた。

エリヲのパーカッションを聴くのは二度目だったけれど、何といったら
良いのだろうか。神出鬼没というか、脱セオリーというか(もちろん
パーカッションの理論など分かるわけがないのだが)。

そこにうまい具合に、石原が絡んでいくのは、とても楽しかった。

スネアとハイハットにこだわり続ける石原のパーカッシブなドラミングは
liiilでも聴くことができる。

的外れなのかもしれないが、スライ・ダンバーのような感じにも聴こえるし、的確な表現が見つからないのだけれど、マイルスのオンザコーナーを聴いたときに感じるグルーブに近いものがあるような気がする。

Neutrion 内橋和久 竹下勇馬 石原雄治

3月22日 千駄木Bar Isshee

内橋和久が、Tumoの二人(竹下勇馬、石原雄治)と新グループを
結成したことを知り、千駄木を訪ねた。

この日は、心身が絶不調だったので、正直なところ演奏を記憶することができなかった。

(といっても私の記憶は、音楽的な学理の裏付けも何もないものなので
あてにはならないのだが、ブログを書く以上は、記憶するという心がけ
を忘れないでいる)

ちなみに、この体調の悪さは、これからアップする二つのライブ鑑賞でも
あまり変わらず、結構きついものがあった。

次とその次のライブレポートでは、いつもよりも言葉少ないものとなるのだが、手を抜いたと思わないでもらえれば幸いです。





二つだけ記憶に残っている場面があった。

ひとつは、内橋和久と竹下勇馬が低音で爪弾いて、かなりな程度に音が
被るところだった。同じ弦楽器であるギターとエレクトリックベースの場合、音が被らないように意識している演奏家は多いと思うが、この二人は自然発生的な趣きだった。



もうひとつは、石原雄治のドラミングだった。これまでに聴いたことがないような相当パワーがあるドラミングだった。

スネアでリズムを刻む際には同じ拍数で、ストローク数を変えており、数えるとそのたび毎に数が変わっていた。




ともかく、黙って音楽に身を委ねたら、とても心地良かった。






観客は、音楽家と音楽関係者、ヘビーリスナーと思しき方々だった。もっと
いろいろな人たちに聴いてもらいたいと思っている。

6月19日(月)に同じくBar Issheeで2回目のライブがあるそうです。

巨星墜つ

生悦住英夫氏 2月27日逝去


初めてモダーンミュージック・PSFの門を叩いたのは、2003年の秋口だったと思う。


並み居る常連客の中にあっても、分け隔てなく接してくれたのを今でも良く覚えている。




生悦住さんからは、本当にいろいろなことを教えてもらった。


行けば必ず2時間くらい、お話を聞くことができた。





灰野敬二、今井和雄、HIGH RISE、三上寛工藤冬里、工藤礼子、友川カズキ、白石民生、数えればきりがないほど、素晴らしい音楽家たちについてのエピソードを語ってくれたものだった。




当初は、ジャズ色が強いブログを書いていた私が、次第に方向転換し現在に至った、そもそもの発端は、生悦住さんとの出会いにあった。




私が所有しているアヴァンギャルドミュージックの音源のほぼ100%は、明大前のモダーンミュージックで購入したものだ。





お店に通い出した頃は、ちょうど高柳昌行の再評価の機運が高まった時期にあたり、高柳昌行生前のエピソードをしばしば聞かせてくれたものだった。





2005年のことだっただろうか。
浅川マキが所属していた、東芝EMIが、英国EMIに買収されるという話が持ち上がっていて、この買収劇を生悦住さんはとても気に掛けていた。というのも、浅川マキのレコーディングは、相当な手間と資金がかかるので、買収先の英国EMIが契約を打ち切るのではないかと心配でならないようだった。 ※関係者の尽力もあり、契約は継続された。







ライブ会場でばったりとお会いしたことが2度ほどあった。



最初は、荻窪ベルベットサンで開催された、井野信義、今井和雄、千野秀一の初共演ライブだった。


そして、2回目は、PSFが主催した、成田宗弘・山本達久、今井和雄・吉田達也それぞれのDuoライブだった。






終演後に、私が「すごいライブでしたね」と話しかけると、生悦住さんは、「ああ、そう」と軽く相槌を打つだけだった。






明大前のお店を閉める日に挨拶に行った時は、「近いうちにキッドアイラクホールの前に店を開くので来てもらいたい」と話していた。




翌月、お店を訪ねようとして、見当をつけた場所に行ったが、店はどこにも存在しなかった。





お店の存続については、当時職を失っていた私にとっては如何ともし難い問題だった。





実は、一度だけ、PSFが発刊していた、「G-Modern」に記事を書いたことがあった。モダーンミュージックに勤務していた黒田さんが推薦してくださり、最終的には生悦住さんが許可して掲載されたものだった。



結局、私はこのときのご厚意に、永遠に報いることができなくなってしまった。




今でも思い出すことばがある。



「インストの即興も良いけれど、最後は歌だよ」




聴くのを薦められたのは、田端義夫船村徹だった。






惜しげも無く授けていただいた貴重な助言や示唆を、しばらくの間は反芻してみたいと思う。





生悦住さん、本当にありがとうございました。


RUINS  小岩・bushbash



























RUINS 2016年12月28日 小岩・bushbash



「バーニングストーン」と吉田達也が曲名をアナウンスすると、歓声が沸いた。



昔からのファンが多数かけつけたと思われる。



私は、録音媒体では聴いているのだが、生演奏を体験するのは生まれて初めてだった(以前の記事で、石窟寺院を間違えてRUINSと表記して「RUINSのライブ体験がある」と誤記している)。


ベースは3代目の増田隆一。



とても良かった。



ただそれだけでよいと思う。



ヴェテランファンはもちろんのこと、初めての人にも生で聴いてもらいたい音楽だった。




1月15日(日)には、東京・東高円寺 二万馬力でライブがあり、大阪ではルインズ波止場のライブもあるようです。