パレーズギャラリー Parades Gallery

長野県松本市を1年ぶりに訪れた。

松本市の風土や文化が気に入っていて、何度も小旅行をしている。




私の知る限りでは、1990年代までは、城下町としての特質を活かした碁盤の目の町並みに、民芸運動の中心人物となった池田三四郎の松本民芸のプロダクトが方々に色を添えながら、ちきり屋などの民芸品店が存在感を示しいていた。それに古本屋や喫茶店(カフェではない)、洋食屋(レストランではない)などの飲食店が点在し、良い意味で伝統的な色合いが濃い土地柄だった。


池田三四郎は、日本民芸館の3代目館長を推挙するに当たって、プロダクトデザイナーだった柳宗理のモダンな創作活動に反発する重鎮たちが、柳宗理の館長就任を快く思わず、これを阻止する構えを見せた時に、大阪の大立者とともに、柳宗理の就任を成功させたという。



プロダクトデザイナー深澤直人が館長を務める今では、そんな話はとても想像する余地がない。





松本市立美術館で行われていた、草間彌生の展覧会に行ってみた。


静岡県立美術館収蔵の50年代のインフィニティネットペインティングは良かった。



1935年の素描がとても印象的だった。


草間彌生5歳のときの作品で、この時から、すでにドット(水玉)が全体を覆っていることに驚いた。




それはともかく、
最近では、どちらかというと町の外れなどに、若い文化が芽生えてきているようだ。

数年前にフリーペーパーでその存在を知って、何度か訪れたが、そのたびに閉廊していたギャラリーがあった。

今回も開いてはいないだろうと期待もせずに何の気なしで訪れたところ、オープンしていた。


躊躇することなく、扉を開けた。



渡辺明日香と、Pauline Gueriniの2人展「VIVID」という
催しが行われていた。

鮮やかな色彩と、色と色が混じり合う、ちょうどの塩梅がとてもよく表現されていた。

グラフィカルな造形美と抽象表現がうまく融合したような感覚だと思う。


オーナーは気軽に対応してくれた。


聞けば、年代物のリソグラフ(日本のメーカーのデジタル印刷機)で制作された作品群という。

ビンテージのリソグラフが、ヨーロッパやアメリカのアーティストの一部でブームになっており、この印刷機を使って制作を行う人たちが急増しているとの話しを聞くことができた。


作者のひとりである、渡辺明日香FUJIROCK FESTIVALなどに作品を提供しているそうだ。


オーナー自身は、カメラマンとして活動しながら、ギャラリーを運営している。



オーナーが好きな写真家は、植田正治


最近では、ソール・ライターの展覧会に行き感銘を受けたという。(サンフランシスコ近代美術館開催だったと記憶しているが)ロバート・フランクの展覧会も見に行ったそうだ。


暗室での作業の喜びや苦労話もしてくれて勉強になった。


語り口が情熱的で引き込まれた。



ギャラリー周辺は、若い文化が根付いており、若いとは言えない私でも楽しめた。

また訪れたいと思う。