灰野敬二 Teun Verbruggen  Jozef Dumolin Super Deluxe



9月19日 灰野敬二+Teun Verbruggen(dr) +Jozef Dumolin(electronics, key)
Super Deluxe


Teun VerbruggenとJozef Dumolinのバイオグラフィーについてはhttps://www.super-deluxe.com/room/3957/を参照ください。





Teun VerbruggenとJozef Dumolinは同じベルギー出身ながら、彼らのHPを見る限り、共演歴はあまりないようだ。そこに灰野敬二が加わるということは、「三者三様の趣をたたえたセッション」というふうになるのだと思う。



Teun Verbruggenのドラミングは、最初から疾走した。
Teun Verbruggenのドラミングにパーカッション的な要素はほとんどなく、正統的なドラミングに徹していた。ロックというよりも、ジャズ的なアプローチであったように感じた。猛々しく、鋭いドラミングだった。



Jozef Dumolinは、エレクトロニクスを操っていた。鍵盤らしきものがあり、それに触れていたが、鍵盤での演奏はしていなかった。重厚な音と中庸な重さの音をタイミング良く出していた。私にはそれがノイズというものなのか判断がつかない。電子音楽には疎いため、語る言葉を持たないのが残念だが、滝のような音のなかで、突然顔を出したユーロビートらしきものの断片と、(確証はないが)フェンダーローズの音がとても印象的だった。


灰野敬二が最初に触ったのは、アンプかミキサーか私の目には判別が付かないような機器だった。


そして、伸縮するワイヤーの玩具、フルート、ヴォイス。


しかし、今回のライブでもっとも印象的だったのは、ギター演奏だった。


それは、技巧とか方法論とか、そういった次元で論ずるべきものではなかった。灰野敬二の身体からあふれた音が、ギターを介して外に放出されていく。そんな感覚に陥った。


ギターは単なる媒介だった。音の源は、灰野敬二の身体そのものにあった。



終盤にかけて、三人の意識が重なり合った。それは、そのまま音となって我々の前に現れた。


恍惚と激情が織りなす結末が訪れた。

会場のライトが灯されると、静けさ以外に何も存在しないかのように感じた。