珈琲会   両国RRR    2014年1月5日


両国RRR 大島輝之、吉田隆一、高橋保行




両国RRRは、フェイスブックで音楽家が紹介しているライブスケジュールサイト「ト調」で知った。秋以降のプログラムで、広瀬淳二、今井和雄などの特集・ライブがあった場所だ。



doubt musicの沼田順さんなど数名が主宰しており、お金がなくても音楽などを楽しめるのが両国RRR立ち上げの趣旨のようだ。


今回の催しは、「珈琲会」だった。



千駄ヶ谷loop-line、黄金町試聴室、そして今回の両国RRRと

3回目を数える珈琲会。私は初めて参加した。


大島輝之ら、中心となる音楽家が、こだわりの豆で珈琲を淹れて来場者にふるまう。そしてライブも行う。

なんとも贅沢な企画だ。




珈琲飲み放題のうえ、来場者(有志)がそれぞれ持参したクッキー、チョコ、焼き菓子などがふんだんに提供された。


ライブは、(私がいた19:30時点までで)沼田さん含めて9名いた音楽
家が、その都度ユニットを組んで7セット催された。



開催時間は16:00から21:00だった。


大島輝之、吉田隆一、高橋保行、舩橋陽が珈琲を淹れてふるまったかと思うと、ライブが突然始まったり、そののち音楽家を交えて皆でおしゃべりしたりと、まさに音楽サロンそのものだった。


料金は、1000円。


本当にこれで元が取れるのだろうかと心配になった。それはともかく、料金の数十倍は価値がある企画だった。





演奏は即興中心だった。新春に聴くのにふさわしい演奏だった。

背筋がピンとなった。

演奏中に、吉田隆一らが、奏者の近くで珈琲ミルを使って豆をグラインドした。

ガリガリと、かなりな音がする。音楽家たちは、何食わぬ顔で演奏している。



びっくりした。


インプロのライブでは、静粛さが求められているのが常で、私などはステージにカメラを向けているのを観客にさえぎられたことが何度かあるほどだ。


即興演奏が彼らの日常生活と密接に結びついている証だと感じた。




大島輝之アコースティックギター一本だった。これが良かった。私は彼のエレキしか聴いたことがなかったのだ。

また、CDでしか彼の歌を聴いたことがなかったが、今回は4曲の歌を聴けた。

吉田隆一のバリトンサックスとのデュオで、昨年逝去した大滝詠一の「恋するカレン」「乱れ髪」「涙のウェンズデイ」の3曲が披露された。


16:00過ぎに入室した直後、この3曲のためのリハを二人で始めたのを間近で見ていた。譜面を見ながらの2回の簡単な音合わせが行われただけだったが、本番はとても良い演奏だった。



そして、4曲目が大島輝之のソロ弾き語りだった。



入江陽との共作の「パフェ」という抒情的な佳曲だった。



大島なりのレクイエムだったのかもしれない。


良い曲だ。



こうした特別なライブ空間で聴いても良いし、大衆にもアピールするような感じがした。






今回は、大島輝之のつながりで、私にとっては未知の音楽家の演奏を聴けたのも良かった。




吉田隆一や高橋保行については、「いまさら生で聴いた」と我ながら思う。



吉田隆一のバリトンサックスの音は秀逸だ。かなり前からブログ等で沼田さんが推していたが、それが本当に理にかなっていると感じた。


たとえばジャズの世界ではバリトンサックスの著名な奏者は何人かいるが、吉田隆一の音は、いずれにも属さない。独自のものを持っている。バリトンらしいバリトンではない。テナーやアルトの響きが聴こえたような感覚になる。

沼田さんのギターとのデュオは、名盤「集団射殺」を想起させるような過激さと濃密さがあった。

高橋保行のトロンボーンをもっと聴きたかった。再び、新宿ピットインあたりで聴く機会があると思う。

フルートの三井さん、エフェクトの森岳之、ベースの竹下勇馬、ソプラノサックスの舩橋陽、(ヴォイスの方の名前を失念してしまった)、多くの音楽家の演奏を聴けて幸運だった。



風邪をこじらせていたため早め(といっても3時間半はいたのだが)に帰ったのだが、会場の雰囲気の良さに加え、親密な音楽家の交わりを味わえることができる貴重な体験だった。




良い年になりますように。