内橋和久、鬼怒無月、ナスノミツル、吉田達也  新宿ピットイン 2013年10月22日


















内橋和久、鬼怒無月ナスノミツル吉田達也    新宿ピットイン





ピットインの告知には「ありそうでなかった」とあり、初顔合わせとはされていなかった。



私のライブ経験はまだ浅く、回数も限られているので、偉そうなことは書けないが、確か8年ほど前に吉祥寺のスターパインズカフェで4人の演奏を聴いた記憶がある。



インプロのライブを本格的に聴き始めたのは十年前だったので、なぜか初心に戻ったような気持ちになった。



最初は写真を撮らず、もちろんブログなども書かずに、ただ音楽に身を委ねていただけだった。今回のライブもそんな具合だった。このため、漫然とした感想しか書けないのが口惜しい。

だた、とても心地良かった。

それで満足だった。






敢えて言うならば、当時と違ったのは、4人の奏でる音楽そのものだった。

当たり前だが、まったく別の音楽になっていた。



時間が流れて、「豊穣」と形容したくなるような感じがした。



8年前、吉田達也の演奏は変拍子を強調したものだったと思う。

ナスノミツルは、今ほどエキセントリックな演奏を披露していなかったように思う。

鬼怒無月と内橋和久は、互いにけん制し合っており、MCにおいても我先にとジョークの乱打戦になったと記憶している。

(当時のライブの録音をしている人に「それは違う」と指摘されれば素直に謝るしかないが。。。)



内橋和久は当時、立って演奏していたが、今回は座っていた。

彼の目の前のテーブルにはたくさんのエフェクター類があった。



印象に残ったのは、内橋和久のカッティングのリフに合わせて、吉田達也が反応してできる大きな演奏の流れと、各人が各様に取るリズムがバラバラになる寸前で音楽的な構築を達成していることだった。

また、吉田達也が他の3人のバラバラのリズムに、状況に合わせて個々に対応するために拍子を変え、それが全体の演奏の流れを決定していたことも鮮明に記憶に残った。

少し聴いただけでは混沌としているが、実は見事な構築美を見せるような演奏だった。

カオスはカオスとしてだけで存在せずに、カオスが構築美を伴っている。

それが、全体的に感じられた心地よい幸福な矛盾だった。