秋山徹次 山田民族 下北沢アポロ














下北沢アポロ
6月22日
秋山徹次(g)
山田民族(g)

即興のライブを聴きに行ったのは、約半年ぶりだった。

昨年だったか、クラシック音楽雑誌の見出しに「(リスナーは)分析はしないこと」とあった。著名な指揮者の言葉だった。

確かにそのとおりだ。
感じるだけで十分なのだが、ブログという媒体の性質上、ある程度の分析はやむをえない。
ここに自己矛盾がある。

この日の秋山徹次のギターソロは、本当に感じるためにあった。

観客は、中村としまる他、音楽関係者と熱烈なファンの計4人。

モーターバイクの爆音のようなエフェクターの音から始まったギターソロは、とてもインパクトがあった。

本当に分析するのは困難だ。

音楽関係者との雑談では、「どうしてそういう音が出るのか自分でも分からない」という
パートがあるらしいことを話していた。同席していた音楽家でも、「どうやって出したのか」と聴いていたくらいだから、エレクトロニクス関連に弱い私が下手に分析できないレベルなのは明らかだった。

ブギーギターのソロ同様、この晩の演奏も、秋山徹次の音楽だ、と表現するほかあるまい。

他のギタリストにはない、独自の領域を持っているということだと思う。

私は、アブストラクトな表現にも難解さを微塵も感じることなく、黙って彼の音楽と同化することができた。

これは特別な体験だった。

山田民族については、主だったライブ会場でクレジットを目にするものの、なかなか聴く機会がなかった。

複雑なリフとエフェクターの多用、という事前の私の勝手な先入観を見事に覆してくれた。
痛快だった。

ギターソロは、ノンエフェクターで、なんとジャズのボイシングを使っていた。リズムは4ビートになっていなかった(と思うが)、ジャズスタンダートの”There will never be another you.”や、クラッシックの「運命」などを2音や3音を用いたボイシングで演奏した。

ネットで検索しても、山田民族とジャズを関連付ける事実が出てこないので、謎は深まるばかりだが、私はこの意外性をとても楽しむことができた。