TTTAT / 藤原大輔Quartz head council 02

渋谷コズモスカフェ
1月29日


菊地雅晃TTTAT(Travel through time and texture)
松村拓海/フルート・エフェクト
菊地雅晃/コントラバス・ギター・エフェクト
イトケン/ドラムス
ハタケン/TB303・TR606・and many analog synthesizers・エフェクト

藤原大輔QHC02(Quartz head council 02)
藤原大輔/テナーサックス・エフェクト
ハタケン/TB303・TR606・and many analog synthesizers・エフェクト

店内奥には、EXILE関東連合を足して2で割ったような大勢の客がたむろって、大宴会のさなか。ものすごい奇声や雄叫びだった。
ライブハウスではなく、普通のバーだったので已む無しという話だった。

最初のセットは、藤原大輔(Ts)とハタケン(TB303・TR606・and many analog synthesizers・エフェクト)だった。

セットの最初のほうでは、藤原大輔のテナーの音量が小さいためか、案の状、店の奥から聞こえる奇声が圧倒した。藤原大輔のサックスの微妙なニュアンスを味わえるチャンスだったが、しょうがなかった。

ところが、これだけで終わらないのが彼らの実力だった。

藤原大輔のサックスが熱を帯びるにつれて、バンドの音が場内を圧倒するようになった。フラジオがとても印象に残る、枯れた音色の演奏だった。藤原大輔がジョー・ロバーノを好んで聴いているのかどうか菊地雅晃さんに尋ねたのだが、ジョー・ロバーノよりも重量感があるという答えに妙に納得した。

次第にハタケンが繰り出すエレクトロニクスの音も存在感を増してきた。
音量だけの問題ではなかったと思うが、場内の主導権を握る要因をうまくことばにすることができない。

次のセットが、TTTATと藤原大輔QHC02のジョイントだった。

当初の予定では3セットのうち、最後のセットが二つのバンドのジョイントだった。それが急きょ変更された。最後のセットでは終電に間に合わないため、ジョイントを聴くことができたのは幸運だったと思う。

さて、この2回目のジョイントセットをことばで説明するのもとても難しい。

まず、ハタケンの出す音の種類・数が私の理解を超えるものだったことが大きい。

次に、気分が高揚して、座っていられなくなり、席から立ち上がって聴いたほどの高揚感があったことも影響している。冷静に聴くという行為が愚かしく思えたほどの内容だった。

ひとことでいうと、それはダンスミュージックだったからだ。

実際、バーのカウンターから飛び出して、フロアーで踊り出した人たちもいた。

このセットの構成はとても興味深く、最初にアコースティックでのテーマ演奏が行われ、そののちエレクトリックに移行し、最後に再びアコースティックに変わり、そのままでのエンディングとなった。(アコースティックのテーマは、Floating bus stop、Weaver of dreams、処女航海の3曲だったと思うが定かではない。菊地雅晃の事前のブログでは、アクアライン1987、ポテンシィとあった)

エレクトリックのパートは本当に強烈だった。イトケン(ds)、菊地雅晃(B、e-g)、松村拓海(Flute)、藤原大輔(Ts)、ハタケン(TB303・TR606・and many analog synthesizers・エフェクト)のメンバー構成だが、ハタケンが繰り出す打ち込みのビート(ドラムス、ベース、コンガほか)やギターなどの音の波と、他のメンバーの生の演奏の融合は見ものだった

生演奏に打ち込みが被るのだが、これが非常に厚みのある音だった。そのサウンドに酔っていて身をゆだねていると、知らぬ間に打ち込みの音が支配的になっているのに気付く。

(ただ、どれが打ち込みで、どの音がシンセの音なのか判別できなかった。これは仕方がなかった。)

そして、これに陶酔していると、生音が前面に出てきているのを感じるようになる。そんな具合で、その切り替えのタイミングを含めて、打ち込みと生音の見事な融合が図られていた。

リスナーは、ただ音の波に身を委ねていればよかった。

じっとして座って聴く音楽ではない。まぎれもないダンスミュージックだったと思う。

リハーサルがあったのかどうかは分からない。

だが、それはどうでも良いことだったと思う。

極上のダンスサウンドが聴けたのだから。