The Silence 秋葉原グッドマン


12月4日  秋葉原グッドマン The silence

JAN b, vo
岡野太 ds, vo
荻野和夫 key, vo
吉田隆一 baritone sax, flute, vo
馬頭將器 g, vo


初めて聴く、元Ghostの馬頭將器が率いるThe silence。

フライヤーのライブ告知は見たことはあったが、聴く機会を逃していた。



津山篤と東京NPO法人のライブが終わり、最前列から会場全体をみわたすと、コアなファンが会場に詰め掛けているのが分かった。



馬頭將器らの音楽に日ごろから親しんでいるとは言い難いうえ、この日のライブをどのように言語化したらよいのか、悩ましく感じている。ロックのライブには何度か行ったことがあるものの、The silenceのようなバンドの音楽は初体験だったからだ。



しっかりと構築された曲のなかにありとあらゆる音楽の要素が散りばめられている。シューゲイザー、サイケ、ノイズ、プログレ、ハードロック、フォーキーなど。ときとしてジャズと思われるような場面もあった。



※ 個人的には、音楽を聴く動機がジャンル分けにあるものでもなく、ただ純粋に○○○さんの音楽という心持ちで聴いているので、上記のような表現は本意ではない。


だが、いずれの方角にも完全に行くことはない。あらゆるタイプの音楽を、ある種のフォーマットとして敢えて咀嚼したうえで取り入れる。しかし、芯のところには必ずThe silenceの音がある。そんな感覚だ。



このため、寸分たがわぬリズムのキメを繰り出しても、実験的な全体の試みが失われることはない。



緊張感のある吉田隆一の饒舌で正確無比なサックスが、ロックの歪んだテイストを損ねることはなかった。管楽器が入ったとしても、うまく表現できないが、俗にいうブラスロックとはまた次元が異なるサウンドだった。



劇的な展開はプログレッシブロックを思わせるが、難解になる寸前に、岡野太の超絶なドラミングが(語弊があるかもしれないが)ポップな趣を付加していく。朴訥としながらも、きっちりとリズムを太く刻んでいるYanのベースがそこに絡むと全体が締まる。
(The silenceのPVで聴いた岡野太のドラムスの音色とはまったく異なり、スネア、タムがスコーンと抜けるような軽快な音がする。個人的には、とてもポップでキャッチーな感じがした。)




急速調の荻野和夫の長いキーボードソロにも驚いた。どのようなジャンルの音楽でも長いソロがフィーチャーされれば、ソロだけがバンドサウンドからくっきりと浮き出るのだが、The silenceの場合は長いソロさえもバンドサウンドが飲み込んでしまう。



馬頭將器は、キーボードやサックスに比べると短めのギターソロを披露する。アブストラクトなときもあれば、リリカルな曲調に合わせて良く謡うときもある。良い意味でまったく予見できない。



馬頭將器のギターソロが如実に代弁しているように、「次はどう展開するのだろうか」、という期待と高揚感にあふれたライブだった。



津山篤NPO法人とともに、まったくの未体験の音楽を聴けて、本当に良い日となった。