Leo Dupleix、Laurens Smet、Louis Evrard、秋山徹次  水道橋・Ftarri




2015年5月2日 水道橋・Ftarri


Leo Dupleix(エレクトロニクス)、Laurens Smet(ベース)、Louis
Evrard(ドラムス)、秋山徹次(ギター)、



Leo Dupleixは、一昨年2013年にフェイスブックで取り上げられていたので、
いつか聴きに行きたいと思っていた。

同じフランス系でも、Hugues Vincentは、10年くらい前から日本にたびたび来ているにも関わらず、まだ聴いていない。いずれ聴く機会があると思う。



いつものとおり、事前の情報なしで聴きに行ったが、それが良かった。

秋山徹次をのぞいた3人は、ベルギーを拠点としており、Tandaapushiというユニットを組んでいるということを幕間でフライヤーを見て知った。

ステージは、3つのセットで構成された。デュオが2セット、カルテットが1セットで、
デュオは、Laurens Smet(ベース)、秋山徹次(ギター)とLouis Evrard(ドラムス)、Leo Dupleix(エレクトロニクス)の組み合わせだった。

最初のセットは、Laurens Smet(ベース)、秋山徹次(ギター)だった。


歪んだ音を出し続けた、秋山徹次のギターの音量は相当控えめだった。鋭角さを避けた、まろやかな音色が印象に残った。ピックアップの種類のせいか、それともギブソンレスポールというギターの構造のためか、それともエフェクターのせいなのか、私には分からない。ともかく、今までのライブで聴いた、鋭く腹をえぐるような音は、ほぼ皆無だった。



Laurens Smetのベースは、秋山のギター以上に控えめな音量だった。解放弦の2弦あるいは3弦を執拗にダウンストロークピッキングした。途中から頻繁にチューニングを変えながら音を出していた。ピッキングのアタックがとても柔らかいため、音が周囲の空間を漂うような感じがした。ときおり、2弦と3弦で、急速調のアルペジオを奏でるが、このときも、アタックが滑らかなため、いわゆる「速弾き」を感じさせなかった。



振幅が限られた、アンチクライマックスな演奏が繰り広げられた。私は、微妙な変化を感じ取る力が要求されているような感覚に陥った。それは良く聴いていないと聴き逃すような、本当に微妙なものだった。



次は、Louis Evrard(ドラムス)、Leo Dupleix(エレクトロニクス)のセットだった。

Louis Evrardは、フロアタムやスネアの上に乗せた金属類を鳴らした。Leo Dupleixは、キーボードの上に、二つの機材をセットしていた。それが、アンプなのかチューナーなのか良くわからなかったが、鍵盤を弾きまくることは皆無だった。ノイジーとも言えないような、はっきりとした輪郭の単音が長く続く。


聞くところによると、Leo Dupleixのピアノ・キーボードの腕前は相当なもののようだ。しかし、この日のライブでは和音を少しばかり押さえただけで、ひたすら長音を奏でた。クレジットにあるように、鍵盤は弾くためのものではなく電子音を出すためだけに使っていた。Louis Evrardは、バスドラを使うことがなかった。マレットの音は、Leo Dupleixの長音に良く合った。スティックを持っても、ローリングを多用し、激しく叩くことは避けた。



休憩を挟み、カルテットの演奏が始まった。


控えめな音量の電子音が会場を支配した。

キーボード、ギター、ベースのそれぞれが、電子音を奏でた。



しばらくしてLouis Evrardがスティックで叩き始める。セッティングのせいなのか、ドラミングの技術なのかは分からないが、激しい音を出さないながらもメリハリのある演奏になった。腕の動きよりも、体の動かし方に目が行った。ドラムセットにうまく体を乗せたかと思うと、すばやく体を引く。腕だけでドラムを叩いてないことが良く分かった。ひとつひとつの音の強弱が粒だって聴こえた。




私は、途中から記憶することを放棄した。

とても静かだった。だから聴き逃すまいとした。しかし、記憶することはできなかった。


ベルギーのトリオは長年来の演奏仲間なのだろうか。その集中力は並大抵のものではない。即興演奏としての連携というものがあるとすれば、それは以心伝心の性格を持つものなのだろうが、長音の重ね方が巧みで、まるでエフェクターを使ってループしたような感覚になる。


エンディングは、とても儚く静かにやってきた。




トリオは、日本ツアー中で各地を回るらしい。

7日 大分・AT Hall
8日 京都・アーバン・ギルド
9日 神戸・Hellevia Lounge
10日 大阪・コモンカフェ
12日 名古屋・Vallentine’s drive
14日 東京・スーパーデラックス